【事例有】顧客の潜在ニーズを生み出す「SPIN話法・営業」の考え方
こんにちは、外資系セールスから転職→現在はベンチャー企業にて起業家を支援している冨田到(@ItaruTomita9779)です。
さてさて、今回は営業マン向けにSPIN話法という営業テクニックを紹介したいと思います。
今回の記事はこのような方向けです。
・お客様のニーズがわからない。
・お客様の潜在的なニーズを生み出せない。
・お客様に自分の製品の興味を持ってもらえない。
私は今年で社会人3年目になる外資系の営業マンです。
重ねてきた商談の数は、5,000回は超えており、最近は社内でベストセールスにも選ばれました。
そんな私が、前述のような悩みに対して、このような結論と意見を提示していきます。
・お客様は、自分が困っていることに自覚していない。
・お客様のニーズの生み出し方は、「質問」にある。
・質問のテクニックとして、SPIN話法というフレームワークを活用する。
・「質問」の目的は、お客様と悩み事を一緒に考え、伴走すること。
・伴走しお互いに共感出来れば、信頼が生まれ、受注につながる。
売れる営業マンになるための、営業の基本から応用スキルまで学習したい方向けのロードマップを公開しました。
当記事では、多くの人が経験する営業という仕事のスキルや姿勢について、基礎から応用までまとめました。
- 営業ロードマップ入門編:営業とは何か?
- 営業ロードマップ初級編:営業の売れない時期を乗り越える。
- 営業ロードマップ中級編:顧客を成功に導く。
- 営業のロードマップ上級編:顧客をコントロールする。
私が外資系のメーカーで学んだ営業を、限りなく網羅的にまとめました。
一流の営業マンを目指す方はもちろん、これから営業職に転職する・就職する人や、若手の新卒営業マンの人は是非ご覧ください。
営業先のお客様のニーズがわからないのは、お客様も自分の潜在ニーズを自覚できていないから。
皆さん、営業の場面で、こんなお困りのことありませんか。
例えばお客さんに製品の説明をしても、全く響かないこととか、たくさん説明をしたところ聞いているんだけども、効いてなさそうなことってありませんか。
お客さんに、自分の提案が響いたのかもわからない、お客さんのニーズが読めない、なんて結果の商談になってしまうんですよね。
これはですね、お客さんからしたら、その提案が自分事に思えないからです。
もしくは「売り込まれている」っていう感覚が強いから起きる現象なんですよね。
あなたが提案しているメリットは事実かもしれないのですが、あんまり自分に関係があると言う風に気づいていない、実感がないんですよね。
確かにいいかもしれないけれど、お客さんが自分事として、考えてない状況なら、ものは売れないですよね。
そういう時にやっぱりお客様に自分の問題について考えさせないといけないのです。
いわば潜在ニーズを引き出すことですが、そのためには「質問」が大事ですよね。
お客様の潜在ニーズを生み出すための質問話法「SPIN話法」を一緒に学ぼう
お客様に、あなたの提案を自分事として、捉えてもらうために、SPIN話法を使いましょう。
SPIN話法とは、下記の頭文字に則った質問話法になります。
- S:Situation Questions(状況質問)
- P:Problem Questions (問題質問)
- I:Implication Questions (示唆質問)
- N:Need-payoff Questions (解決質問)
Sで、お客様の現在の使用サービスなどの状況の確認をします。
そして、Pで、現状のサービスに問題が現状ないか確認します。
次に、Iで、その問題が実は解決しなければいけないのではないか、ということを問いかけます。
最後に、Nで、解決の手段として、自分の会社のサービスや製品を提示するのです。
私は、営業を行う時、お客様に応じて、このSPIN話法を使っています。
今の時代、お客様としても、製品情報は理解できていても、自分の潜在的なニーズに気づいていないケースが多いのです。
なので、製品やサービスの説明から始めても、「はいはい、それ知ってますよ。」となって、商談がうまく行かなかったんですよね。
寡黙なお客様には、あまりおすすめできませんが、普通にコミュニケーションを取れるお客様には、会話が弾みますので、おすすめです。
今回は、このSPIN話法で、現金で支払いをしている人にクレジットカードを売り込む練習をしみてみましょう。
それでは、一緒に練習していきましょう。
潜在ニーズを引き出す「SPIN話法」のコツ:状況質問では、お客様に現状を振り返ってもらう。
今回は、設定として、基本的に支払いを現金で済ませている60代の高齢者に対して、クレジットカードを提案します。
まず、状況質問をしていきます。
高齢者の方に、いきなりカードのメリットをお話しても、馴染みがないかもしれないので、質問しながら一緒に考えていくのです。
ここでまず一言、「クレジットカードのご紹介の前にお伺いしたいのですが」と、これからSPIN話法で質問をする目的を明確にします。
そうでないと、「自分はなんのインタビューを受けているんだ?」と混乱させてしまいますからね。
状況質問で私がお客様に聞くなら以下のような内容を聞くでしょう。
- 「現金でお支払うときは、どのようなときが多いでしょうか?」
- 「クレジットカードを使おうと思われたことはありますか?」
これから、クレジットカードを売り込むことになります。
なので、現在、現金で支払っているのはどんな場面なのか、ということを聞くことで、クレジットカードを使う際にどんなメリットを提案できそうか、事前に確認しましょう。
また、クレジットカードを使おうと思ったことはないか、を伺うことで、クレジットカードを今まで使おうと思ったけど、なぜ使わなかったのかを理解できます。
そして、お客様が使っていない潜在的なニーズや理由を聞き取ることができる可能性も増えるのです。
事前にわかっていたことでも、お客様と確認しながら進めることで、お客様も、現状の棚卸しができますよね。
潜在ニーズを引き出す「SPIN話法」のコツ:問題質問では、現状の不満を聞き出す。
次に、問題質問を行っていきます。
現金支払いにおける問題を事前に考えておくのです。
それは、クレジットカードで解決できるような問題が良いでしょう。
それは、もちろん最後にクレカを提案するわけですから、クレカに関連する解決策を幅広く考えておき、問題質問を取り揃えておく必要があるからです。
つまり、もしあなたがSPIN話法を使うなら、自社製品・サービスによって解決できるような問題を事前に考察しておくことが大事なのです。
自社製品の強みの分析は下記のFAB分析を参考にしてください。
先程の事例に関連して、私であれば、このような問題質問をすると思います。
- 「スーパーでの買い物が多いんですね。現金で買う際、小銭がすぐに見つからずに嫌な思いをしたことはありませんか?」
- 「クレジットカードの手続きがめんどくさいというイメージをお持ちなんですね、手続きが簡単でクレカが使えるようになったら、今不便に感じていることで、解決しそうなことはありますか?」
といった感じですね。
基本的には、このように、状況質問で得た情報を元に、潜在的なニーズに対して問題提起を行っていきます。
潜在ニーズを引き出す「SPIN話法」のコツ:示唆質問では、問題から起こりうる不具合を掘り下げる。
次に、示唆質問を行います。
示唆質問では、問題質問でみつけたお客様が抱える潜在的なニーズや、問題を掘り下げていく質問を行います。
ここらへんから、お客様と一緒に共感していき、一緒に考えていく感覚が強まっていくのが、SPIN話法の面白いところですね。
私なら、下記のような示唆質問を行います。
- 「スーパーとかの支払いって、これからも多いですよね。そう考えるとストレスが多いかもしれませんね?」
- 「クレジットカードを使わないことで、実はお客様に還元されるはずのポイントなどを損をしていることもあるかもしれませんね?」
このように、問題を掘り下げていきます。
掘り下げるときのコツは、相手にあなたの意見を押し付けないことです。
潜在ニーズを引き出す「SPIN話法」のコツ:解決質問で、あなたのサービスを提示する。
さて、最後に解決質問を行います。
解決質問では、あなたが示唆質問で掘り下げた問題質問に対して、解決策を提案する質問になります。
お客様の潜在的なニーズを発掘し終えて、ここではじめて自社製品やサービスの提案をするんですね。
例えば下記のような解決質問を行います。
- 「現金払いのストレスを解消できるのが、クレジットカードではないでしょうか?」
- 「しかも、現金で払うよりも、ポイントで還元されるのでお得になるからおすすめだよっていう人も多いのです。クレジットカードを考えてみませんか?」
こんな感じですね。
この最後のニーズがわかった瞬間の提案は、お客様にとっても納得感がありますし、我々営業マンとして、お客様の喜ぶ顔が見れるので、大変心地よい瞬間ですよ。
Nを導き出すのは、説明型の営業よりも、頭を使いますので、営業マン自身に努力のストレスがかかります。
他方で、ニーズに気づいている人だけに売れる説明型の営業よりも、潜在ニーズのお客様に売れる確率が高まるので、非常に効果的な手法です。
法人営業の場合のSPIN
B to Cよりの営業の事例でSPIN営業のテクニックをご紹介しましたが、法人営業でも有効なフレームワークです。
例えば、法人営業の場合のSPINでは下記のことを注意しながら聞くと良いです。
法人SPIN営業のSituation Questions(状況質問)
ここで聞くべきは、営業をする担当者の担当領域を明確にする状況質問です。
法人営業では、担当者によって、自分のミッションが決まっており、自分に関係のない課題は、他の方に任せてしまいます。
なので、あなたがSPIN営業で成功に導くべき課題は、担当者のニーズなのです。
担当者のニーズ、例えば経理部門の人間で「コストを最小化したい」とか、社長クラスで「地域の経済を支えたい」とか、マーケティング・設計担当者で「デザイン性を改善したい」とか、色々なニーズがあります。
しかも、それぞれの部内の人間によって、例えば「デザイン性の中でも〇〇な部分を変えたい」と思っている人と、違う部分を改善したいと思っている人もいて、担当領域が細分化されているケースも多いんですよね。
担当者のニーズ、担当者の成功は、その人の担当領域や会社でのミッションに関係しますので、しっかりヒアリングしましょう。
法人SPIN営業のProblem Questions (問題質問)
法人営業でのSPINの問題質問では、担当者が現在抱えている問題を聞きます。
この問題は2つのパターンがあります。
1つは、自分で問題を把握できているパターンで、この問題を掘り下げていき、商品の説明をするパターン。
もう1つは、相手が問題を把握できていないパターンで、自社の強みに紐付けた問題提起をするパターン。
上記のどちらのパターンにあたるかを見極め、残りの部分のIとNにつなげましょう。
そして、示唆質問では、自社の強みに関わる顧客の課題を深堀りし、解決質問では他社の横展開や、同業種での同じような解決パターンに導きましょう。
潜在ニーズをSPIN話法で解決していく必要がある時代
今の時代のお客様は、情報にあふれています。
その情報は、お客様自身の悩みにフォーカスしたものではなく、「自社の製品・サービスは素晴らしいですよ!」ということを喧伝するものばかりです。
そんな情報に辟易するお客様の前に現れるのが、SPIN話法を身に着けたあなたです。
潜在ニーズを生み出す、SPIN話法を身につけるコツ
SPIN話法を身につけるコツは、「自社製品を、お客様のニーズがわかるまで説明しない」という制約をあなた自身がつけることです。
この制約は、ついつい破ってしまいます。
だって、説明をするほうが楽なんですから。
この制約をまずは破らないように、商談の数を1,000、2,000と重ねていってください。
また、お客様の前に出てから質問を考えると、頭の回転が早い方でないと、適切に効果的な質問ができません。
下記のように、事前にあなたの商材の強みに照らし合わせた質問を用意してから、お客様の潜在ニーズを導き出せるように、していってくださいね。
質問の進行度 | 効果的な質問 |
S:状況質問 | |
P:問題質問 | |
I:示唆質問 | |
N:解決質問 |
【紹介】大型商談を成約に導く「SPIN」営業術(ニール・ラッカムさん著)
最後に、SPIN話法にもっと興味がある方におすすめの本を紹介しておきます。
今回のSPIN話法の生みの親の、ニール・ラッカムさんの本です。
内容紹介
業績が上がらないのは、本当に不況のせいだけなのか?
20年以上「営業のバイブル」として読み継がれる、
大型商談の必須テクニック、
「SPIN」式を網羅したオリジナル・テキスト。
不況の厳しい荒波を突破する切り札に!【本書を支える3つの信頼】
1) 徹底した実地検証によって裏付けられたテクニック
2)世界のリーディングカンパニーがこぞって採用
3)20年以上経ても、セールスパーソン必読の書として定着●規模や金額が大きく、複数回の商談を重ねて成約にいたる、
いわゆる大型商談に欠かせないセールス・テクニックを網羅した本書は、
世界で初めて「1回の商談で成否が出る小型商談と大型商談とでは、
効果的なセールス法はまったく違う」ことを証明し、一躍脚光を浴びた。
●著者ニール・ラッカムは12年をかけ、35000件のセールスを実地調査。
その結果、大型商談では「SPIN式」といわれる質問話法を用いることで
売上に劇的な変化が起きることを示した。
これだけの規模・時間・費用をかけて
「本当に効果がある方法」を徹底追求したセールス法は類がない。
●その信頼性の高さから、
マイクロソフト、IBM、GE、AT&T、ゼロックスなど、
世界のリーディングカンパニーがこぞってこれを採用、
20年以上経ても時代や国を問わず支持されている。
●本書は考案者によるオリジナル・テキストだけあって、
実例を多数用いながら、考え方も使い方も過不足なく懇切丁寧にフォロー。
●不況下で苦戦を続けるあらゆるセールスパーソンにとって、
今こそ自身のセールスを見直し、鍛えるとき。
本書は必ずやその力強い味方となる。*「SPIN(スピン)」とは?
大型商談を進めるうえで重要なポイントとなる質問法のこと。
「Situation Questions(状況質問)」「Problem Questions(問題質問)」
「Implication Questions(示唆質問)」「Need-payoff Questions(解決質問)」
の頭文字をとったもので、
この4つの質問をうまく使いこなすことで、
買い手に、その商品(サービス)が必要であると思わせ、
成約につなぐ可能性を格段に高めることができる。内容(「BOOK」データベースより)
本題に入る前の雑談にかける時間は?商品(サービス)の特徴や利点を、どう切り出しているか?見込客に反論されないために何をしているか?商談前にどんな準備をしているか?クロージング・テクニックを使ったことはあるか?2年にわたり世界35000件の商談を調査研究して生まれた大型商談における「もっとも効果的な営業術」とは。
著者について
ニール・ラッカム Neil Rackham
英国シェフィールド大学にて行動心理学の研究者となった後、ハスウェイト社を創業。
12年にわたり世界35000件の商談を調査研究し、独自のセールス法を開発。
セールスに関するコンサルティングやトレーニング、セミナーを手掛けアメリカ有数の企業に成長させる。
同社のセールス・プログラムは23カ国で展開され、マイクロソフト、IBM、GEその他、
フォーチュン500社の半数以上で採用されている。[訳者]岩木貴子 Iwaki Takako
翻訳家。東京生まれ。早稲田大学文学部およびダブリン大学文学部卒業。
訳書に『ジョニー・ブンコの冒険』『繊細で生きにくいあなたへ』(以上、講談社)、
『ダライ・ラマのビジネス入門』(マガジンハウス)、『つながりすぎたグローバル経済』(オープンナレッジ)、
『MY ONLY SON』(アーティストハウス)がある。
本ブログ記事でも、かなりSPIN話法を理解することはできますが、実践しながら、本書を噛みしめると、もっと理解が進むでしょう。
ぜひ一冊、営業のお供にしてみてください。
売れる営業マンになるための、営業の基本から応用スキルまで学習したい方向けのロードマップを公開しました。
当記事では、多くの人が経験する営業という仕事のスキルや姿勢について、基礎から応用までまとめました。
- 営業ロードマップ入門編:営業とは何か?
- 営業ロードマップ初級編:営業の売れない時期を乗り越える。
- 営業ロードマップ中級編:顧客を成功に導く。
- 営業のロードマップ上級編:顧客をコントロールする。
私が外資系のメーカーで学んだ営業を、限りなく網羅的にまとめました。
一流の営業マンを目指す方はもちろん、これから営業職に転職する・就職する人や、若手の新卒営業マンの人は是非ご覧ください。
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