【書評】カスタマーサクセス実行戦略から類推する自社顧客の成功体験

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【書評】カスタマーサクセス実行戦略から類推する自社顧客の成功体験

こんにちは、外資系セールスから転職→現在はベンチャー企業にて起業家を支援している冨田到(@ItaruTomita9779)です。

カスタマーサクセス(CS)という言葉、ビジネスマンであれば一度は組織のリーダーが話していることを聞いたことがあるのではないでしょうか。

カスタマーサクセスは、顧客の成功のために、顧客に導入していただいたサービスを使い倒してもらうために、相談・情報提供・セミナーなどを適宜実施するような部署であったり、概念であったりします。

例えばSaaS(Software as a Service)やサブスクリプションなどのビジネスモデルにおいて、特に重要とされている概念でもあります。

他方で、みなさんも御存知の通り、モノ売り→コト売りというように顧客の必要とする価値が体験にシフトしている現在、SaaSを開発していない多くの企業も、このカスタマーサクセスの概念を自社に適応させることが重要になります。

今回は、名刺管理サービスで有名なSansanのCS部の山田さんが執筆された「カスタマーサクセス実行戦略」を書評させていただきます。

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商品の説明

Sansanカスタマーサクセスチームの最新知見を凝縮した実践のための書!

Sansanが創業当時からカスタマーサクセスという概念に
向き合い続けてきたからこそたどり着くことができた、
国内初のカスタマーサクセスに関する実行メソッド。

フレームワークや原則を学んでも、それを自社でどのように活用すればよいか
わからない人たちのために、各企業フェーズごとにその実行メソッドを紹介。

カスタマーサクセスの実践者、企業の事例として、ブリヂストン、WOWOW担当者、
また『カスタマーサクセス――サブスクリプション時代に求められる
「顧客の成功」10の原則』著者 ダン・スタインマンとの対談も収録。

〈内容の一部〉
第一章 カスタマーサクセスの概要
・ソフトウェアサービスにおけるビジネスモデルの変化
・サブスクリプション時代における顧客との向き合い方

第二章 カスタマーサクセス戦略
・顧客ライフサイクル 、ヘルススコア、リスク管理
・プロダクトフィードバック

第三章 カスタマーサクセスをスケールするためのテクノロジー
・具体的にどのようなCSツールを採用すべきか
・テクノロジーが実現する、新しい形のアップセル・クロスセル戦略

第四章 カスタマーサクセスを実現する組織と人材
・KGI、CS Ops――サブスクリプション時代の新たなキャリア

第五章 カスタマーサクセスの世界的な広がりと、日米の現状

第六章 ブリヂストン、WOWOW、『カスタマーサクセス』著者との対談

著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

山田/ひさのり
Sansan株式会社カスタマーサクセス部シニアカスタマーマーケティングマネージャー。大学卒業後、ゲームプログラマーとしてキャリアをスタート。その後、ウェブ開発のプログラマー/システムエンジニアを経て、スタートアップのビジネス開発に興味を持つ。2013年「世界を変える新たなビジネスを」という考えに共感し、Sansan株式会社に入社。現在はSansanのカスタマーサクセス部で、全体戦略の立案と既存顧客とのエンゲージメント強化を担当(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです) –このテキストは、絶版本またはこのタイトルには設定されていない版型に関連付けられています。

カスタマーサクセスはSaaSビジネスの組織の文脈で語られることも多いのですが、それ以外のビジネスモデルの会社も大変参考にすべき概念であり、役割になります。

製造業やサービス業では、コールセンターなどを常駐させて、カスタマーサポートという部署や役割を置いていることも多いのですが、本書「カスタマーサクセス実行戦略」では、これを受け身の戦略としています。

他方で、カスタマーサクセスは、サブスクリプションで顧客が継続的にお金を払う際に、顧客がシステムやサービスをしっかり使えているのか、満足度が高いのか、ということを積極的に聞き取り、提案・解決するものになります。

これが出来ると何がいいのでしょうか。

つまり、顧客は自社の困りごとに沿った、サービスを導入するわけですが、各社毎にうまく使えるかどうか、はまた別のお話になるので、ここを支援することで、顧客の継続率に影響するのです。

本書を執筆された山田さんが所属しているSansanも、創業当初は、顧客の名刺スキャンを代行して、サービスの導入と顧客の成功=名刺の一元管理による便益を達成しようとしていたのです。

SansanはこのCMで有名ですね。

業界的には、カスタマーサクセスはLTVと紐付いています。

LTVとはLife-Time-Value=顧客生涯価値であり、(平均購買単価 × 購買頻度 × 継続購買期間) - (新規獲得費用 + 顧客維持費用)で表されます。

カスタマーサクセスがうまくいくと、毎年125%でアップセルやクロスセルが生じるという凄まじい効果も発生するようです。

顧客の支払いは顧客の成功の証左であり、だからこそ、カスタマーサクセスが大事になるのです。

カスタマーサクセスのフレームワークを学ぶ

カスタマーサクセスという考え方は、顧客の成功を考え続けることであり、会社によっては部署がなくても、当たり前に実践できているところもあるかもしれないですね。

他方で、そういった価値観が薄れてしまっている会社があることも事実であり、いかにカスタマーサクセスを学び直すか、というのは重要なイシューです。

本書「カスタマーサクセス実行戦略」においては、いくつかの有効なフレームワークが紹介されています。

下記にカスタマーサクセス実行戦略から抜粋したフレームワークを列挙しますが、ぜひ考えていただきたいことがあります。

それは、皆さんの会社やビジネスモデルにおいて、どう応用が効くのか、顧客の成功のためにできることはないか、という点です。

まずはカスタマーサクセスが自社の仕組みでどれほどの成熟度があるのかを測るために、下記の4段階のフレームがあります。

■成熟度
  1. REACTIVE(カスタマーサポートとして苦情が来たときに対応する状態)
  2. INSIGHTS & ACTIONS(個人ごとの独自のフレームワークがある状態)
  3. OUTCOMES(組織的な手法やツールが有る状態)
  4. TRANSFORM(全顧客に関係構築とサクセスのフローが確立している状態)

また、下記はGainsight Elements社というカスタマーサクセスに特化したビジネスを実践している、顧客がサービスを導入してから成功するまでの流れの中で、何に注目すべきかを整理したリストになります。

上記の成熟度に関連して、モニタリングするカタチになります。

■Gainsight Elements
・INSIGHTS & ACTIONS
  1. 360° Customer View [Cv]:顧客の情報集約
  2. Lifecycle Management [Lm]:顧客をライフサイクルごとに管理
  3. Customer Health [Ch]:顧客の健康スコアを管理、チャーン共通特性の数値化
  4. Experience Managemen [Cx]:顧客への満足度調査
・OUTCOMES
  1. Adoption Management [Am]:サービス導入後の事例とトレーニング提供
  2. Renewal Management [Rm]:契約更新時のチャーン阻止
  3. Expansion Management [Em]:追加受注の獲得
  4. Stakeholder Alignment [Sa]:人事異動対策含むキーマンのグリップ
  5. Risk Escalation [Re]:チャーン防止のための経営との契約の握り
  6. Success Plannning [Sp]:成功のための具体的な計画立案
・TRANSFORM
  1. Product Success [Pr]:プロダクトフィードバックループ
  2. Advocate Engagement [Ae]:成功事例のシェアのリファラル
  3. Support Experience [Su]:カスタマーサポートとサクセスの連携によるハードクレームのファン化
  4. Service Experience [Se]:ROIの計測と達成の明確化

それぞれの指標を定性と定量で、測ることができれば、顧客の利用状況に応じて、カスタマーサクセスの戦略を打つことが出来ますね。

そして、カスタマーサクセスにおいては、カスタマーを維持する・新規で獲得するためのマーケティングが大事なります。

それがカスタマーマーケティングという考えです。

■カスタマーマーケティング
  1. 顧客の直面する課題の発信
  2. 解決策としてのSaaSの価値の発信
  3. サービスの利用方法の確認と発信
  4. 顧客がよく使うコミュニケーションチャネルの設計と新機能発信

そして、カスタマーマーケティングをより円滑に回すために、顧客をコミュニティ化し、相互に問題を解決したり、自社サービス改善に活用したりするコミュニティーマーケティングという手法も存在します。

■コミュニティーマーケティング
  1. コミュニティのコンセプトメイク
  2. 運営体制
  3. ユーザー会の定期開催
  4. オンラインコミュニティの構築
  5. コミュニケーションの促進

Sansanさんクラスのカスタマーサクセスでは、下記のように顧客の成功事例やコミュニティを積極的に構築しており、導入からアップセルまで、セミナーを連携してうまく設計しているようです。

どのフレームワークも非常に参考になり、自社がSaaSやサブスクリプションをやっているかどうかに限らず、LTV向上のために、何が欠けているのか、何が実践できるか、検討させてくれる素晴らしいフレームワークです。

ぜひ、本書「カスタマーサクセス実行戦略」を繰り返し読みながら、自社の施策をモニタリングしたいですね。

自分の仕事の顧客の成功(カスタマーサクセス)とはなにか

本書「カスタマーサクセス実行戦略」では、上記のフレームワークだけではなく、組織としてカスタマーサクセスを実行する際の必要な人材要件やKPI/KGI設計についても書かれております。

つまり、これからカスタマーサクセスを学ぼうとする人には非常におすすめの本です。

また、カスタマーサクセスという言葉を聞いたときに、自分の仕事のお客様の、「成功」とは何かを考える切っ掛けにしてみてもよいのではと思います。

部品を売ったり、サービスをしたり、コンサルをしたり、その先に、自分の仕事でしかなし得ない価値や顧客の成功を提供できているか。

非常に難しい問題ですが、顧客のあるべき姿を常に考える必要があるのでしょう。

フェイクワークを常に疑いましょう。

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