最近、イーサリアムのファウンダーのヴィタリック・ブテリン氏が「The promise and challenges of crypto + AI applications」というクリプトにおけるAIの活用の課題についてのブログを書いています。
AIとクリプトは今後10年間の主要な技術トレンドであり、これらの技術がどのように相互作用するかについて説明しています。
- AIがゲームのプレイヤーとして参加する: 最も実現可能性が高いカテゴリーで、AIが人間の入力から最終的なインセンティブを得るプロトコルに参加する。
- AIがゲームへのインターフェースとして機能する: AIがユーザーを暗号世界でナビゲートし、詐欺や騙されることなく、彼らの行動が意図と一致するように支援する。
- AIがゲームのルールとして機能する: 最も慎重に進めるべきカテゴリーで、ブロックチェーン、DAOなどが直接AIを呼び出す。
- AIがゲームの目的として機能する: 長期的には、暗号技術を使って他の目的のために利用されるAIを構築し、維持する。
大規模言語モデル(LLM)と暗号技術(例:ブロックチェーンのスケーリングソリューション、ゼロ知識証明(ZKP)、完全同型暗号化(FHE)、マルチパーティ計算(MPC))の進化により、暗号通貨とAIの有望な応用が現れ始めていると指摘します。
Web3という投資・スタートアップテーマは2022年〜23年に爆発し、生成AIもここ1,2年で爆発しており、大企業では Web 3・AI 事業部なんてものが生まれる始末です。
私も生成AIに関する事業をやっているということと、クリプトや Web3の事業やコンサルをやっていたこともあるのでAI×Web3/クリプトの 市場が今どうなってるのか、これをきっかけに調べてみたいと思います。
*投資可能なトークンの話題もありますが、投資助言ではありません。
AIとWeb3/Cryptoによるマシーンエコノミー
Generative Venturesの創設者であり、ブロックチェーン技術企業であるConsenSysの元グローバルFintech Co-HeadであるLex Sokolin氏は、AIとWeb3の時代とは、マーシンエコノミー(機械経済)の時代であると指摘しています。
現代は、生成AIによって推進され、加速されるデジタルデータの生産は、芸術やコードから商品やサービスまで、経済的供給と需要の基盤を形成する無数のデジタルデータを生み出しています。
さらに、Web3に裏打ちされた貨幣やデータが一般化すると、高度に訓練されたAIエージェントをNFTとして保管し、私たちの明示的な許可のみで展開するために使用されるというのです。
また、パランティアの共同創設者ジョー・ロンズデール氏も、AIエージェントが取引時に暗号通貨を使用する可能性があると断言しています。
これはつまり、機械が経済の主体になるということであり、人間よりも知的生産が優れた機械経済が生まれるということを意味するということですね。
生成AI を普段から使っている人にとっては、かなり生産性の向上が実感としてあると思うのでマシーンエコノミーという言葉に対して あまり抵抗を持たないかなと思います。
ここまでだとあまりにも 空想の話というか実感が持てないので もう少し具体的にブロックチェーン と AI の強みの観点から どういうソリューションとか課題があるのか っていうところを見ていきたいと思います。
ブロックチェーンとAIの強みと弱みと相互補完
Web3だとかクリプトとか言われるものというのは、ブロックチェーン技術を使っています。 ブロックチェーンは分散型台帳技術によって、運用次第ではデータの書き換えを難しくすることができ、特に使われているのが改ざん耐性をもつ24時間ネット環境があればどこでも使える電子貨幣のビットコインです。つまり、直列的な唯一性であったり、関係性を区切るのに非常に便利な技術ということです。
ただし既存のデータベースとの統合が、利権的にも難しく、なかなか普及が進まないのも現実です。(ただし、グローバルな取引高を誇っているという意味ではマスアダプションしてると言えます。)
AIについては、最近はGPTを代表とするように大規模言語モデルという技術によって作られた言語を予測して新しい言語を生成することができる技術が流行っています。今年は大統領選もあるので AI が生み出したディープフェイクの問題なども出てきており、生成AIリスクというものも叫ばれています。
- 知的財産権の侵害
- 品質と正確さ
- プライバシーの懸念
- バイアスと公平さ
このような生成AIのリスクに対してブロックチェーンが使えるのではないかという意見があります。
AIはスケーラブルな創造力を持ち、確率、中央集権、ブラックボックスのプロセスが特徴とされる領域で活動しています。一方、Web3は分散型であり、決定論的で信頼できる透明性のあるフレームワークを提供できます。
また、「Distributed artificial intelligence: Taxonomy, review, framework, and reference architecture」という論文では、AIの5つの主要な領域と、Web3がそれらにどのような影響を与えるかについての説明が記載されています。
- AI Workflow
- AIモデルの体系的な開発とトレーニングのプロセス。
- Web3はこのプロセスを合理化し、よりアクセスしやすく協力的にする。
- AIモデルの体系的な開発とトレーニングのプロセス。
- AI Infrastructure
- ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークを含む技術的基盤。
- 例えば、Web3の「Decentralised Physical Infrastructure Network (DePIN)」は計算資源に対するより効率的なアプローチを提供する。
- ハードウェア、ソフトウェア、ネットワークを含む技術的基盤。
- Paradigms
- AIシステムの設計と実装を導くフレームワーク。
- Web3はユーザーに近い計算を移動する、共同またはフェデレートされた学習のような新しいパラダイムを導入する。
- AIシステムの設計と実装を導くフレームワーク。
- Management
- 効率的なリソース分配とプロジェクトの調整を保証するメカニズム。
- Web3は複雑なステークホルダーを効果的にナビゲートすることを要求し、革新的な調整とインセンティブ構造を導入する。
- 効率的なリソース分配とプロジェクトの調整を保証するメカニズム。
- Applications
- 最終ユーザー向けに設計されたAI技術の特定の実装。
- Web3は効率、透明性、倫理を向上させるために分散化を活用する。
- 最終ユーザー向けに設計されたAI技術の特定の実装。
技術の強みと弱みの2つの側面があるように、2つの技術が組み合わさることで解決できる課題もあるということです。解決できる課題は大きく2つあり、まず(1)Web3 の課題です。次に(2)Web2 の課題ということになるかと思います。生成AIをWeb3と組み合わせて解決しやすいのは当然Web3の課題です。
AI×Web3・Cryptoのユースケースとカオスマップ
Web3の問題でAI によって解決できそうな課題は下記の通りです。
- データ分析
- AIは、Web3業界の膨大なデータから貴重な洞察やパターンを抽出するための高度なデータ分析技術を可能に。
- 予測モデリング
- AIアルゴリズムは、トレンド、行動、市場動向を予測し、Web3アプリケーションの意思決定を支援し、戦略を最適化。
- 自動化
- AIは繰り返しタスクを自動化し、トランザクションの検証やスマートコントラクトの実行などの領域でプロセスを効率化し、業務効率を向上。
- リスク管理
- AIによるリスク評価モデルは、潜在的なリスクを特定し軽減するのに役立ち、より安全で信頼性の高いWeb3エコシステムを確保。
- チャットボット
- AI駆動のチャットボットは、ユーザーサポートを提供し、問い合わせに答え、問題を迅速に解決することで、Web3プラットフォームでのユーザーエクスペリエンスを向上。
- セキュリティ強化
- AIアルゴリズムは、セキュリティ侵害、詐欺、悪意のある活動を検出し、防止することで、Web3システムのセキュリティインフラを強化。
- アルゴリズム取引
- AIはアルゴリズム取引戦略を可能にし、投資の意思決定を最適化し、人間の偏見を減らし、Web3市場での収益を最大化。
下記の図は、ChainMLが紹介している図ですが、ファイナンス、セキュリティ、ユーザーエクスペリエンス、コンテンツ作成、ガバナンスなどの主要なWeb3のセクターに活用可能なマップが示されています。
また、DecasonicのWeb3 × AIのマーケットマップでは、コンピューティング レイヤー → データ レイヤー → モデル レイヤー → インターフェイス レイヤー → アプリケーション レイヤーのAIアーキテクチャで整理がされており、Web3ネイティブかハイブリッドかで、さらに解決する課題をWeb3から広げて整理しています。
カテゴリーは以下のとおりです。
Decasonicより翻訳して抜粋
- 分散ストレージ: 分散クラウド上のデータ ストレージ。
- 分散型推論: AI サービスを強化する AI 推論用のコンピューティング。
分散型機械学習 (別名モデル トレーニング): AI モデルをトレーニングするための計算。
ZK プライバシー / 完全準同型暗号化: ゼロ知識プロトコルは、データを公開することなくデータセットに関する証明を行うことができる。
信憑性
コンテンツバリデータ – ブロックチェーンを利用してデータの出所を追跡したり、悪意のある AI 生成コンテンツとの戦いでボット、AI 生成コンテンツ、なりすましを検出
本人証明: インターネット上の人間の存在またはコンテンツのプライバシー保護、分散型検証。AI が生成したコンテンツやエージェントが人間のコンテンツとますます区別できなくなる世界の対策
データ アグリゲーター: ユーザーが AI モデルのトレーニングに必要なデータ セットを作成または検索できるようにする分散型取引所/マーケットプレイス。
データバリデータ: 処理中のオフチェーンデータを検証し、ブロックチェーンプロトコルでアクセスできるようにするAIを活用したオラクル。
分散型モデル:
オンチェーン AI: 完全にオンチェーンで動作するモデル。完全なオンチェーン モデルは既知の入力のみに基づいて構築でき、信頼できる出力が得られる。ブラックボックスではない。
フェデレーテッドラーニング: 複数の分散デバイスまたはサーバー間でモデルを共同でトレーニングしながら、それらのデバイス上にデータを保持し、プライバシーを保護し、一元的なデータ集約の必要性を軽減する機械学習アプローチ。
スマートコントラクトと自動化された意思決定
スマート コントラクトの監査: Live-Ops およびテスト ネット開発のためのスマート コントラクトの自動監査。
DAO ガバナンス: AI が提案した提案、または AI ガバナンス ツールおよび管理プラットフォームを使用して運用されている DAO 。
複合現実 x 生成AI:
相互運用性: AIを利用してNFTをさまざまなアプリケーションに変換する。
ジェネレーティブ 3D: 3D アセットと没入型エクスペリエンスを作成するためのジェネレーティブ AI。
AIエージェント
消費者向け
パーソナル アシスタント: ユーザー固有のニーズや好みに合わせたエグゼクティブ アシスタント。
AIタレント/VTuber:AIストリーマー/インフルエンサー
ゲームボット: ゲーム内の NPC の AI エージェント
企業
セールス: AI を活用したセールスアバター
マーケティング: AI を活用したコピーライターと企業のエージェント
カスタマーサポート: 個別のカスタマーサポートエージェント
AI を活用した Web3 サービス
開発者とのリレーション: AI を使用して開発者との関係を強化し、オープンソース コードの貢献者を探す。
分析: NLP サポートされたブロックチェーン分析
マーケティング: AI 分析を活用した Web3 マーケティング プラットフォーム。
AIとDeFi
イールド ファーミング: DeFI プロジェクトでのトークンステーキングのAI最適化
価格設定: オープン DeFI 市場とオンチェーン資産に関するリアルタイムの価格設定サービス
ポートフォリオ構築: トレーディングボットと自動投資管理プラットフォーム
詐欺検出: AI 分析により、DeFi プロトコル上の詐欺や違法取引を検出。
以下は、カテゴリーごとに抽出した一部のスタートアップです。
カテゴリー | 名前 |
---|---|
Decentralized Storage | IPFS, Filecoin, Arweave, STORJ, BitTorrent |
Decentralized Inference | DEEPCHAIN, PRIVATE AI, GNY, MATRIX |
Decentralized Machine Learning (model training) | GNY, Oraichain, Modulus, Fetch.ai, BEACON |
ZK Privacy / Fully Homomorphic Encryption | ZK Rollups, ZAMA, ORCHID |
Authenticity | SPOOL, Ascribe, PROVENLY |
Proof of Personhood | BrightID, Proof of Humanity, Idena |
Data Aggregators | Ocean Protocol, DIA, API3 |
Data Validators / Oracles | Oraichain, API3, Chainlink |
Decentralized Models | PIXIA, Cortex |
Federated Learning | FLOWER |
Smart Contracts and Automated Decision Making | Test Machine |
…など、連合学習などはLLMの非中央集権化(プライバシーリスクやデータの傾向の偏りのため)の文脈があるため、Web2の分野、もっといえば一般的な生活に役立つ未来もあるようにおもえます。
- インフラストラクチャーレイヤー
- 生成AIは高性能GPU上で動作するLLMによって可能になっており、LLMには主に3つのワークロードがある
- トレーニング(モデル作成)
- ファインチューニング(セクター/トピックの特殊化)
- 推論(モデルの実行)
- レイヤーを一般的な用途のGPU、ML特化型GPU、GPUアグリゲーターに分割可能
- 生成AIは高性能GPU上で動作するLLMによって可能になっており、LLMには主に3つのワークロードがある
- ミドルウェアレイヤー
- 信頼を最小限に抑えた方法でこのコンピューティングリソースをオンチェーンのスマートコントラクトに接続するために必要。
- ゼロ知識証明(ZKP)がその役割を果たす。
- アプリケーションレイヤー
- スマートコントラクトの監査
- ブロックチェーン固有のチャットボット
- メタバースゲーム
- 画像生成
- 取引
- リスク管理プラットフォーム
などのユースケースがあげられています。インフラストラクチャーレイヤーでは、前に取り扱ったDePINのように、インフラストラクチャーを分散化する試みがあります。
特定の会社や国家に資源を依存しすぎない仕組みを作ることができるので、社会的に不安定な国にニーズがあるでしょう。日本としても、新興国で行うビジネスとして取り組むべきですね。
AIトークン銘柄
Web3/Cryptoといえば、良くも悪くもトークンの発行です。AI関連の銘柄として、いくつか主要なものがあるので調べてみました。
AIトークンは人工知能技術への関心の高まりによって急上昇し、AI技術を通じた効率の向上やセキュリティの向上、投資リターンの可能性など多くの利点があると主張されますが、リスクが高いことをご承知おきください。投資する前に十分な注意を払うべきです。
以下、AI(人工知能)を活用する暗号資産の銘柄をいくつかご紹介します。
- Oasis Network (ROSE)
- プライバシーに焦点を当てたブロックチェーンで、スマートコントラクトの匿名性と機密性を保ちながら実行できるようにする「ParaTime」機能を特徴とします。
- SingularityNET (AGIX)
- AIアプリケーションとアルゴリズムの交換を促進するマーケットプレイスで、AIの中心ハブとして機能し汎用人工知能(AGI)の進歩を目指します。
- iExec RLC (RLC)
- クラウドコンピューティングリソースの分散型市場を提供し、未使用のコンピューティングリソースの共有と利用を可能にします。
- The Graph (GRT)
- イーサリアムベースで、ブロックチェーンネットワーク全体でデータを効率的に検索・統合するプロトコルを確立します。
- Сortex (CTXC)
- ブロックチェーン上でAIを統合し、機械学習モデルをスマートコントラクトとdAppsに組み込むことを可能にします。
- Fetch.ai (FET)
- AIを活用したマルチエージェントシステムのプラットフォームで、自治経済主体の協働を促進します。
- Injective Protocol (INJ)
- イーサリアムブロックチェーン上の分散型取引所で、取引手数料なしで即時の資産転送を提供します。
- yPredict (YPRED)
- トレーダー向けにAIと機械学習を利用したデータ駆動型の洞察を提供し、トレーディングパフォーマンスを最適化します。
- Ocean Protocol (Ocean)
- 分散型データ市場を目指し、データ所有者が制御を保持したままデータを公開・取引できるようにします。
- OriginTrail (TRAC)
- 資産追跡を可能にする分散型ナレッジグラフを活用し、グローバルインデックスによる透明性と信頼性を提供します。
- Pontem Network
- 新しいAIブロックチェーン製品を開発中で、大規模言語モデルを活用した新機能を提供予定です。詳細は未公開ですが、間もなくベータテストが開始されます。
- Worldcoin
- OpenAIのサムアルトマンのプロジェクトで、人間とAIボットを区別するための「World ID」と呼ばれるデジタルパスポートを提案しています。
- これは網膜スキャンに基づき、WLDトークンと支払いアプリの使用を認証されたユーザーに限定します。
- Alethea AI (ALI)
- テキスト記述に基づいてキャラクターを作成するための生成AIを使用し、仮想キャラクターをiNFTとして発行します。
- Numerai (NMR)
- データサイエンティストのコミュニティによるAIアルゴリズムを使用して暗号価格を予測するヘッジファンドです。
- Phoenix (PHB)
- Web3 AI dAppsおよびIoT用に最適化された新しいブロックチェーンで、内蔵オラクルとステーキング報酬を提供します。
- SingularityDAO (SDAO)
- AIが駆動するDeFiプラットフォームで、AIによって自動再バランスされるトークンポートフォリオ「DynaSets」を提供します。
- Vector Space AI
- AIを使用して宇宙生物学における突破口を加速させ、暗号価格やグローバルイベント間の関連を明らかにすることを目指します。
- VAIOT (VAI)
- AI駆動のモバイルバーチャルアシスタントを作成し、パーソナライズされたオファーを提供できるようにします。
- GNY (GNY)
- AI予測プラットフォームを構築し、ビットコイン価格範囲のAI生成予測などの製品を提供します。
- DeepBrain Chain (DBC)
- 全世界のノードがAI開発者にコンピュータリソースを提供するAIコンピューティングネットワークです。
- Oraichain (ORAI)
- 分散型AIおよびWeb3全般のためのレイヤー1ブロックチェーンで、AI dApps用のサブネットワークを含みます。
- Matrix AI Network (MAN)
- AIとブロックチェーンを組み合わせたクラウドコンピューティングプラットフォームで、環境に優しいマイニングと高速トランザクション処理を実現します。
- Raven Protocol (RAVEN)
- AI、メタバース、ゲーミング、Web3のための分散型コンピューティングプロトコルで、スペアコンピューティングパワーを必要とする人々とつなげます。
- AptosLauncher
- 機械学習技術を使用したAptos上のプロジェクトで、優れた速度とスケーラビリティを活用することを目指しています。
- InQubeta
- InQubetaは、ブロックチェーンを使用して投資家と種資本を求めるスタートアップをつなぐAIとweb3の革新的なプロジェクトです。
- QUBEトークンは投票権とデフレモデルを提供し、NFTマーケットプレイスを通じて資金調達とネットワーク拡大を図ります。
- DigiToads
- DigiToadsは、メームトークン、ステーキングポータル、プレイ・トゥ・アーン機能を統合したプラットフォームで、TOADSトークンを使用して報酬を得る初心者向けの方法を提供します。
- Velas
- Velasは、AIとSolanaブロックチェーンを組み合わせたプラットフォームで、高速な取引と強固なセキュリティを提供します。
- Deeper Network
- Deeper Networkは、セキュアでプライベートなインターネット体験を提供する分散型のサイバーセキュリティプラットフォームです。
- Nexo
- Nexoは、借り手の信用評価を評価し、貸し手のリターンを最適化するためにAIと機械学習を使用する暗号資産貸付プラットフォームです。
- Augur
- Augurは、予測を強化し結果を検証するためのAIアルゴリズムを取り入れた分散型予測市場プラットフォームです。
- Jarvis Network
- Jarvis Networkは、暗号通貨と他の資産のための最適化された取引と投資戦略を提供するDeFiプラットフォームです。
- Echelon Prime
- Echelon Prime ($9.9500, 3.87% 24HR変動)は、ブロックチェーン機能を活用したゲームを可能にするプラットフォームで、web3ゲーミングを進化させています。マーケットキャップは$337,863,093で、総供給量は33,941,183です。
- Pikamoon
- Pikamoon ($0.0006)は、GameFiイノベーションと成長するPikamoonコミュニティに焦点を当てたAIコイン領域に参入しています。総供給量は50億PIKAです。
- Flux
- Flux ($0.611970, -0.27593% 24HR変動)は、より適応性が高く、スケーラブルで、検閲に抵抗する分散型アプリケーションの作成を可能にする、人々主導のFlux Cloudを使用します。マーケットキャップは$209,060,856で、総供給量は342,028,477です。
- Green Bitcoin
- Green Bitcoin ($0.354)は、環境に優しいブロックチェーンを利用して予測に基づく報酬プラットフォームを作成します。総供給量は50億GBTCです。
- Bittensor
- Bittensor ($559.7700, -5.38841% 24HR変動)は、分散型AI企業のビジョンに魅了されたコンピュータ科学と人工知能の分野の人々を対象としています。マーケットキャップは$3,478,015,854で、総供給量は6,228,649です。
- Solidus Ai Tech
- Solidus Ai Tech ($0.064292, -6.67819% 24HR変動)は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)データセンターを活用しています。マーケットキャップは$27,164,928で、総供給量は422,472,527です。
- Covalent
- Covalent ($0.210337, 2.1819% 24HR変動)は、Avalanche、Polygon、Ethereumなどのブロックチェーンプラットフォームのデータを集約します。マーケットキャップは$131,924,326で、総供給量は625,051,477です。
など、DeFi(分散型金融)、予測市場、インテリジェントトレーディング、データ共有など、さまざまな分野にまたがっています。
AI×Web3/Cryptoのスタートアップの事例
AIはデータを選別し、整理し、有用な方法で提示することができます。そして、特にLLMはオンチェーンデータ(ブロックチェーン上のデータで、(金額、時間、ウォレットアドレス、手数料などがある)を人間が読める形に変換するという用途ですでに使われています。
AIを実際に活用しているスタートアップの事例を見ていきます。
SettleMint
ベルギーのSettleMintは、企業がブロックチェーンアプリケーションを簡単かつ迅速に構築および統合できるよう支援するプラットフォームです。プラットフォームにAIアシスタントを追加し、Web3の開発者がより良いスマートコントラクトを書くのを手助けしています。
Bunzz
Bunzzは、スマートコントラクトのためのスマートエコシステムを提供するプラットフォームです。このプラットフォームでは、業界の専門家によってレビューされた高品質のコントラクトを簡単に見つけ、デプロイし、管理することができます。
Bunzz DeCipherを使用して既存の契約をクローンし、再利用するためのAIによる文書生成機能も備えています。また、NFT、DeFi、ERC20トークン、DAOなどの様々なテンプレートを提供し、EVM互換チェーン上でのデプロイメントをサポートしています。
日本人ファウンダーで6億円の調達もしている期待のスタートアップです。
Altered State Machine
Altered State Machine(ASM)はシードラウンドの調達を行い、ブロックチェーンと人工知能(AI)に投資するVCの4RCが参加しています。
Altered State Machine (ASM)は、独自の人工知能(AI)をNFTとして所有、訓練、取引できる分散型プロトコルを提供します。
ASMのAIは、アバター、ゲーム、仮想世界などのメタバースアプリケーション内で使用でき、ユニークなDNA(ゲノムマトリックス)を持ち、訓練によってスキルを向上させることができます。
Fetch.ai
Fetch.aiは、DWF Labsから$40 millionの資金調達を実施しており、AIアプリケーションおよびサービスを構築、展開、収益化できるオープンプラットフォームを提供します。
Fetch.aiのネイティブトークンであるFETの時価総額は現在約$400 millionです。さらに、トークンの価格は現在$0.38であり、24時間で12.7%の増加となっています。
ChainML
ChainMLは、機械学習専門家によって設立されたスタートアップで、IOSG Venturesが主導し、Hashkey Capital、LongHash Ventures、SNZ、戦略的パートナー、シリコンバレーのエグゼクティブに支援されて400万ドルを調達しました。
ChainMLはAllianceDaoのアクセラレータプログラムを卒業し、Chainlink BUILDに参加する最初の10プロジェクトの1つです。
Council Analyticsという、会話型アナリティクスを可能にする生成AIプラットフォームを提供しています。このプラットフォームは、ソフトウェア製品に対話式のデータ洞察機能を簡単かつ安全に統合できるAPIを通じて実現します。
SuperSight
SuperSightは、$1Mのプリシードラウンドを発表し、420万人の暗号通貨ユーザーがいる中、わずか3万人しかプログラムで洞察を得ることができないというギャップを埋めることを目指しています。
自然言語でWeb3のデータ群から情報を引き出すことができます。Duneに似ていますね。
Allora
Alloraは、機械学習モデルの自己改善ネットワークを通じて、よりスマートで安全なAIをアプリケーションに提供することを目的としています。
このプラットフォームは、クラウドソーシング メカニズム (ピア予測)、フェデレーテッド ラーニング、zkMLを組み合わせて、AIモデルが互いに学習し、時間と共に自己改善する能力を持っています。
Final Aim
こちらも日本人ファウンダーですが、Final Aimは、デザイン管理と真正性をスマートコントラクトで確保する独自のブロックチェーンプラットフォームを手掛けており、生成AIによるデザインにも対応しています。
Final Aimは2019年に設立され、デザインとデジタル製造業を中心にブロックチェーン事業を展開しています。同社は、Web3テクノロジーの開発に取り組む使命を掲げ、国際特許も複数出願しています。さらに、多くの受賞歴を持ち、世界的なスタートアップアクセラレーターから高い評価を受けています。
分散型の生成AI活用の課題
あらためて、「Distributed artificial intelligence: Taxonomy, review, framework, and reference architecture」では、分散型のAI=分散型人工知能(DAI)システムの利点と課題は次のようにまとめられています。
利点は、以下の通りで、冒頭に述べた偏りの排除や、非中央集権のリソースの柔軟性です。
- 問題解決の多様性(Problem Solving Diversity): 異なる専門家システムの協力により、個々の能力を超える複雑な問題を解決するためのユニークな専門知識が提供されます。
- モジュラリティ、再利用可能性、効率性(Modularity, Reusability, and Efficiency): 小さな専門システムを様々なアプリケーションに再利用し、専門化されたプロセッサによる並行タスク実行を促進するモジュラーデザインが特徴です。
- 複雑さの管理と分散問題への適応性(Complexity Control & Adaptability to Distributed Problems): 分散システムのための処理タスクを分解します。
- 中央集権化された攻撃ポイントの欠如(Lack of Centralised Point of Attack): 中央集権的なボトルネックを避けることで応答の回復力を高め、データの劣化やシステムの故障に対しても柔軟に対応します。
- 大規模問題の処理(Handling Large-Scale Problems): 中央集権システムでは非現実的なかなり大きな問題を処理する可能性があります。
課題は、非中央集権の裏表ですが、誤った分散性による一貫性の欠如や計画推進能力の欠落があげられており、DePINもそうですが、一定のサイクルで成り立つニーズが確立するまで、分散は難しいでしょう。
- 調整の悪さ(Poor Coordination): 利害関係者間での一貫性のある協力的な行動を保証することは難しく、不完全な知識により一貫性が欠ける可能性があります。
- 利害関係者の不完全な知識と一貫性のなさ(Stakeholders Incomplete Knowledge and Inconsistency): 分散された責任により、エージェントが部分的な知識しか持たず、それが一貫性を欠き、全体のシステムの信頼性に影響を与えることがあります。
- 戦略計画の課題(Challenges in Strategy Planning): 様々な利益を持つ異なる利害関係者が特定の目標に合意することが困難です。
- 情報収集の複雑さ(Complexities in Information Gathering): 利害関係者は、非同期のコミュニケーションと動的な変化に対応して自らの状態をいつ、どのように更新するかを決定する必要があります。
マシーンエコノミーのCrypto AIエージェントの可能性
私もdeskrex.aiという市場調査のリサーチAIツール/エージェントを作っているので、AIエージェントの領域に注目しています。
Cryptoや投資の領域では自動でトレードを行うBotが普通にあります。それらを作る人達をBotterと言います。お金に直結するのでかなり面白いと思います。
そこで、Botがもっと発展したときに自立型のエージェントになったときが、マシーンエコノミーへの本格的な突入と捉えられるとでしょう。
下記のVariantの記事では、Crypto AI Agentsの種類を示しており、エージェントの種類を分けています。
Crypto AI エージェントは、DeFi やオラクル アプリ全体で今も利用されている初期のボットから、Bottoのような自律型アーティストを含む、LLM を活用する今日のより洗練されたエージェントに進化しているとのことです。
例えば、Syndicate のトランザクション クラウドを使用して自分自身を銀行に預けることができる AI エージェントや、Autonolasのような初期の AI エージェント サービス マーケットプレイスがあります。
他にも、すでにマーケット・インしているプロダクトとして、下記のユースケースとスタートアップが挙げられています。
(Variantの記事から日本語訳して抜粋)
- AIエージェント対応の「スマートウォレット」
- DawnはDawnAIを活用して、ユーザーによるトランザクションの送信、取引の実行、その他のリアルタイムのオンチェーン洞察(トレンドのNFTなど)を支援できるAIエージェントを提供します。
- 暗号ゲーム エージェント
- Parallel Alpha の最新ゲームColony は、ウォレットを所有して相互に取引できる AI キャラクターを作成することを目的としています。
- AI エージェント向けのツールキットの強化
- AI エージェントの優れた点はツールキットによって決まり、ブロックチェーンとの対話は現在初期段階にあります。暗号 AI エージェントには、ウォレット、資金調達方法、権限付与機能、統合 AI モデル、および他のエージェントと対話する機能が必要です。
- より具体的には、Gnosis は、 AI メカを使ってこの初期のインフラがどのようなものであるかを示しました。AI スクリプトはスマート コントラクトで AI スクリプトをラップし、他のボットを含む誰もがスマート コントラクトを呼び出してエージェントのアクション (たとえば、賭けをするなど) を実行できるようにします。予測市場)を利用しながら、エージェントに支払うこともできます。
- 拡張 AI トレーダー
- トレーダーや投機家に高度なアクションを提供する DeFi スーパー アプリ。以下のものが含まれます。条件が満たされた場合にポジションを DCA します。
- ガス価格が一定の価格を下回ったときに取引を実行する。新しいミームトークンコントラクトを監視する。ユーザーがどこにオンボードするかを知らなくても、注文のルーティングを決定できます。
- AI エージェントのロングテールの有効化
- ChatGPT のような大規模なアプリケーションは、一部の一般的なチャット目的には適していますが、AI エージェントは多数の業界、主題、ニッチ向けに微調整する必要があります。
- Bittensorのようなマーケットプレイスは、「マイナー」がターゲット業界 (暗号通貨、バイオテクノロジー、学術など) の特定のタスク (画像生成、事前トレーニング、予測モデリングなど) のためにモデルをトレーニングするインセンティブを生み出します。Bittensor は誕生したばかりですが、開発者はすでに Bittensor を使用して、オープンソース LLM のロングテールの上にアプリケーション/エージェントを構築しています。
- NPC コンシューマ アプリ エージェント
- 非プレイアブル キャラクターは MMORPG などのゲームでは一般的ですが、マルチプレイヤー コンシューマ アプリではあまり一般的ではありません。しかし、仮想通貨消費者アプリの金融化された性質により、AI エージェントは新しいタイプのゲーム メカニクスを導入する優れた参加者になります。
- オープン AI インフラストラクチャ企業 Ritual は最近、Friend.tech内で動作し、ユーザー メッセージに基づいてトランザクション (キーの売買) を実行するLLM ベースのエージェントであるFrenrugをリリースしました。Friend.tech ユーザーは、エージェントを説得して自分のキーを購入したり、他の人のキーを売ったり、Frenrug エージェントに資金を他の創造的な方法で使用させたりすることができます。
エージェント同士が経済活動を行うとなると、エージェント間の相互運用性、インターオペラビリティが重要になると思われます。
すべてのAIツールは特化型のAGIになる未来があるので、それを見越してアーキテクチャをつくり、プロダクトを改善していきたいものです。
参考文献
この記事はDeskrexでリサーチした結果を参考に書いています。無料トライアルで使いたい方はこちら → https://lp.deskrex.ai/
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