【書評】「PRE-SUASION」で、自分の行動が誘導されている事実を理解せよ。【まとめ】

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【書評】「PRE-SUASION」で、自分の行動が誘導されている事実を理解せよ。【まとめ】

こんにちは、外資系セールスから転職→現在はベンチャー企業にて起業家を支援している冨田到(@ItaruTomita9779)です。

今回は、「影響力の武器」で有名な「ロバート・チャルディーニ」氏の最新作である「PRE-SUASION :影響力と説得のための革命的瞬間」の書評を行っていこうと思います。

「影響力の武器」については、下記をご参照ください。

社会で騙されたり丸め込まれたりしないために、私たちはどう身を守れば良いのか?

ずるい相手が仕掛けてくる“弱味を突く戦略”の神髄をユーモラスに描いた、世界でロングセラーを続ける社会心理学の名著。

待望の第三版は新訳でより一層読みやすくなった。楽しく読めるマンガを追加し、参考事例も大幅に増量。

ネット時代の密かな広告戦略や学校無差別テロの原因など、社会を動かす力の秘密も体系的に理解できる。

ここで、一つ本書に関連する点について質問ですが、胸に手を当てて、考えてみてください。

皆さんは「自分がしようとしている行動が、本当に自分が決めて行動した」と、どこまで断言できるのでしょうか?

本書は、人の行動に影響を与える要因を記した名著である「影響力の武器」を、より最新の研究結果をまとめ、その人の行動を操作する「下準備(プリ・スエージョン)」がどのように生まれているかを明らかにした本です。

悪さをしないでほしいものではありますが、お客様にいい意味で導く=思い通りになってほしいと考える「営業マン・マーケッター・ビジネスマン」にとっては、是非とも一読いただきたい社会心理学の専門書です。

また、上記のビジネスマン以外にも、「人間の行動の心理や脳みそはどうなっているのか」、「自分の行動はどのように決定されているのか」、という点を消費者の観点から、自分の身を守るために読んでいただくにも、最高の本だと考えます。

それでは、書評に行っていきましょう。

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商品の説明

内容紹介

PRE-SUASION(プリ スエージョン)
Persuasion(説得)の冒頭のperをもじって、pre(前)+ suasion(勧告・説得)としたチャルディーニによる造語。

説得前のプリ・スエージョン(下準備)こそが成否の鍵だった。

膨大な文献とプロフェッショナルたちの言動から説得に並外れたパワーをもたらす要素を明らかにする。―そして今、『影響力の武器』は新たなステージへ・・・

『影響力の武器』の著者、チャルディーニ博士による33年ぶりの単著。六つの影響力の武器(返報性・好意・権威・社会的証明・希少性・一貫性)に真の威力を与える、第七の武器が明らかにされる。膨大な文献を渉猟し、社会心理学者の武器である科学的根拠を身近な例を挙げながら示した、著者渾身の書き下ろし。

原書名:PRE-SUASION: A Revolutionary Way to Infuluence and Persuade

著者について

・Robert B. Cialdini|アリゾナ州立大学名誉教授、社会心理学者、Influence at Work社代表
・あんどうきよし|東洋大学社会学部社会心理学科教授
・そねひろき|翻訳家

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人間の行動の誘導は、下準備(プリ・スエージョン)で、決められている。

さて、本書の第一章は、このような序文で始められています。

「私は以前、スパイとして、人にイエスと言わせることに力を注いでいる様々な職種のトレーニングに潜入したことがあります。ー(略)ー。成績トップの人たちが多くの時間を割いていたのは、要請を行う前に何をして、何を言うかの、入念な作り込みでした。ー(略)ー。説得の達人を達人たらしめるのは、下準備(プリ・スエージョン)、すなわち受け手がメッセージに出会う前から、それを受け入れる気になるようにする行為なのです。」

下準備(プリ・スエージョン)とは

ここで、本書の下準備(プリ・スエージョン=PRE-SUASION)の意味が示されています。

そう、プリ・スエージョンとは、メッセージを受け手に受け入れやすくする下準備のことです。

プリ・スエージョンは、相手の注意や集中力を奪うことで効果を発揮します。

その注意を向けるためのものは、自分の特徴に関連するものであったり、性的なものであったり、目立つものであったり、危険を感じるものであったり、様々です。

本書では、プリ・スエージョンを、コカ・コーラの広告、殺人事件の冤罪、テロリストの自白などの個別的な例や統計的なデータによって証明しており、新たな視点を教えてくれる読み物としても純粋に面白いです。

そして、優秀な営業マンやマーケッターは、言葉巧みに、そして広告などをうまく使って、我々の行動を操作してしまうのです。

例えば、前著:「影響力の武器」でも、「返報性の原理」という、「人に良いことをされたら、頼まれごとを受け入れやすくなってしまう」というものが紹介されていました。

リンツ(リンドールチョコ)の返報性の活用

東京に住んでいる方は、リンツというリンドールチョコを売っているお店をよく見るのではないでしょうか。

リンツに入ると。リンドールチョコをただで一つくれますよね。

人によっては、「チョコを貰って悪いから、何か勝ってあげないといけないかな」と思ってしまうでしょう。

ここで、生まれたのが返報性の法則なのです。

リンツは、返報性の原理を活用したマーケティング手法を活用しており、身近なプリ・スエージョンの実例を示しています。

プリ・スエージョンの防衛と実践

さて、プリ・スエージョンは、このように、人を操作させると同時に、それを理解することで、自分の身を守ることを可能にします。(一応、本書の目的は後者を示すことだそうです。)

プリ・スエージョンから身を護るには

「もし私たちの好みや選択が、ある企業のスローガンが印を踏んでいるか、自分の名前と似ているか、美しい風景を使っているか、株式銘柄の略号が発音しやすいかといった取るに足らない合図の有無によって、過剰に揺さぶられているのであれば、取引相手とのやり取りで生じるそういった偏りを、是正できるようになるのが望ましいと思うでしょう。」

「彼を知り己を知れば百戦殆からず」、孫氏の言葉にもあるように、プリ・スエージョンの手法を知ることで、「自分の行動が操作されているのか」、ここに気づくことが出来るでしょう。

プリ・スエージョンの実践

他方で、プリ・スエージョンを活用して、相手を操作するには色々な方法があります。

本書の例では、重いクリップで挟んだ履歴書は大切な志望者であるように思われたり、睡眠不足の兵隊は上司の命令に拒否しなかったり、疲れている人間は夜の時間帯のCMに対して商品の効果に対する疑問を抱かない傾向にあるとか、色々なシーンにおいて、色々なプリ・スエージョンがあるようです。

「ここまで相手を反応させる直前に、正しいことをほんの少し言ったりやったりすれば、自分の望む方向へその相手を動かすことができるということを見てきました。」

上記の引用にあるように、ほんの少し、「正しいこと」を行うだけで、我々の行動は操作されてしまう可能性があるのです。

相手を望んだ方向に導く方法には、ある一定の法則性がありますが、本書からはそれについても詳しく知ることができます。

プリ・スエージョンの具体的な方法論

最適な影響力の原理の使い方の流れは、まず最初の段階で良い関係を育むことが大事です。

  1. 良い関係を育むには返報性の行為がとりわけふさわしいと考えられます。返報性は有意義で意外性のある特別性のあるものを与えることから始めましょう。
  2. 次に嘘偽りのない相手との共通点を強調し、心から相手を褒める言葉を送り、お互いの親密さを打ち立てます。

第二段階では不確実性の軽減が優先課題になります。

  1. 仲が良ければ説得ができると言うわけではなくて、相手の判断を賢明な選択だと肯定させるために、社会的証明の原理と権威の原理が必要です。
  2. 専門家や知人がその人の判断に対して、非常に肯定的であるという情報与えること、それにより不確実性を軽減させてあげることができます。

そして第三段階では、行動への動機付けが大事になってきます。

  1. 友人からの良い評判をその選択について聞いたからといって、例えばダイエットをその人に進めたいとして、ダイエットをすぐにするとは限りません。
  2. なのでそこで必要なのが、一貫性の原理と希少性の原理を盛り込むことです。
  3. 以前、相手の方があなたが推奨したい行動について大事にしていたと思われる場面や、それがその選択をしなかった、しなければ失ってしまうような未来を考えていたことを思い出させる、もしくは考えさせることで、行動を促すプリ・スエージョンが完成するのです。

本書の実践編では、上記のようにプリ・スエージョンに必要な下準備として、下記の要素を取り入れるべきだと示しています。

  • メッセージの受け手との親密さの醸成
  • 促したい行動の信頼性の肯定
  • 行動を促す人が以前からその行動をしたかったということへの思考誘導

たしかに、私は営業をしていますが、実際によく上記のような要素を営業トークに入れていたりしていますね。

商談相手に、相手に役立つ無料のサンプルを持っていったり、購入を促すときにA社も使ってますと言ってみたり、相手の言動から製品を購入することを正当化するための言動を質問で引き出したり、などなど。

私自身は、悪い製品は売らないという信念を持っていますので、お客様を営業によって結果的に不幸にはしないつもりですが、悪い人がプリ・スエージョンを使えば、恐ろしいことです。

自衛のためにも、上記の要素を、自分が営業を受けているときには、振り返ってみると面白いかもしれませんね。

下準備(プリ・スエージョン)で自分の選択・時間・命を奪われない術を学ぼう。

本書の締めくくりの文に下記のものがあります。

あらゆる選択のほとんどで、私たちがどんな人間であるかは、その選択を行う直前に周囲という観点から見て、私たちがどこにいるかで決まります。

我々人間は、自分の選択を自分だけで決めたものとして、絶対視することはできません。

選択をするときに、自分がどんな状況で選択をするのか、すなわち極論言えば、自分が善人であったり、悪人であったりということは、自分がどのような環境にいるかで決まると言っても、本書から学べる限りでは、過言ではありません。

特に、近頃は、スマホの発達で常に我々の集中力や注意は、スマホの通知に奪われ、スマホのソーシャルゲームやSNSに奪われてしまいます。

これらの集中力・注意の収奪は、あなたの人生の選択を、操作しようとする企業の悪意にさらされてしまえば、あなたの人生は本当にあなたの人生足り得るのと言えるのでしょうか。

(ソーシャルゲームやSNSが悪いこととは言いませんが、企業の意図として、消費者から時間やお金を奪おうと考えていれば、IT時代にプリ・スエージョンを活用されることは非常に危険なのです。)

本書は小手先のテクニックを紹介するものではなく、我々の行動の背景には、どのような下準備(プリ・スエージョン)の考え方があるのか、ということを明らかにした本でした。

なので、本書をテクニック本としてだけ捉えるのではなく、「行動の選択の本質」を理解するために、こちらの本で理解することをお勧めします。

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