【書評】「OPENNESS(オープネス)」で学ぶ潜在問題の顕在化

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【書評】「OPENNESS(オープネス)」で学ぶ潜在問題の顕在化

こんにちは、外資系セールスから転職→現在はベンチャー企業にて起業家を支援している冨田到(@ItaruTomita9779)です。

突然ですが、仕事をしていると、こんな「空気」を感じることはありませんか?

  • 「上司に意見が言いづらい、相談しづらい」
  • 「ミスをしたが、怒られるから嘘をついてしまった」
  • 「経営者や部長のことが信頼できない」

こういう「空気」を感じてしまうと、信頼して仕事ができず、思ったように成果を発揮できないですよね。

こんな話、意外と友人から聞きますし、いわゆる「あるある」ネタじゃないでしょうか?

今回は、そんな日常生活はもちろん、職場で感じる「空気」が、普段のパフォーマンスに影響することを書いた本を書評します。

その名も、【OPENNESS 職場の「空気」が結果を決める】という本です。

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内容紹介

「職場の空気」と「企業の業績」には、強い関係がある。「風通しが悪い」のに、「社員の士気が高い」会社はほぼ存在しない。「給料」と「社員の士気」はあまり関係ない。オープネスは、「高ければ高いほどいい」わけではない。リーダーの真価は「失敗が起こったときどう対応するか」ではかれる。オープネスを「組織のカナリア」として使うことで、業績の悪化を防げる。事業再生に成功する組織は「士気の高い部署」から変革する…『転職の思考法』で日本人の働き方に変革を起こした著者によるまったく新しい組織の教科書!

著者について

兵庫県出身。神戸大学経営学部卒。就職氷河期に博報堂へ入社し、経営企画局・経理財務局で勤務。その後、ボストンコンサルティンググループを経て、2016年、ワンキャリアに参画。執行役員として事業開発を経験し、現在同社の最高戦略責任者、子会社の代表取締役を兼務。テレビ番組や新聞、ビジネス誌などで「職業人生の設計」「組織戦略」の専門家としてコメントを寄せる。
2019年5月から、840万件の社員・元社員のクチコミを見られるサイト「オープンワーク」のマーケティング戦略のサポートも担当している。
著書に『転職の思考法』(ダイヤモンド社)『天才を殺す凡人』(日本経済新聞出版社)『分断を生むエジソン』(講談社)がある。

著者の北野唯我さんは、UpDraftsでも度々ご紹介しています。

BCGを経てベンチャーの役員を努めており、最近のビジネス本ではベストセラーを連発しております。下記は北野さんの本の書評です、ご参考までに。

【書評】「転職の思考法」は、最高のキャリアの相談者【感想】
就活生の方、第二新卒の方、キャリアチェンジを考えている中堅の方、キャリア選びに不安を持っていたり、現状に不満があったり、就職や転職に際して、迷いがある方におすすめの転職の本があります。それが「このまま今の会社にいていいのか?と一度でも思ったら読む 転職の思考法(北野唯我さん著)」です。今回は、この「転職の思考法」の書評・感想を書いていきながら、皆さんに転職という選択肢を持つことの素晴らしさを伝えたいと思います。特に、社会人1年目であったり、第二新卒で転職のおすすめの本を探している場合は、入門書に最適です。
【書評】「天才を殺す凡人」で、自分の才能を見つけ出す旅に出よう。【Kindle おすすめ本】
突然ですが、集団での活動で、例えば学校生活・ビジネス・スポーツなどの世界で、人はそれぞれ無自覚的にそれぞれの役割を担います。それは、天才・秀才・凡人という3つの役割です。皆さんは、自分が天才であるのか、秀才であるのか、凡人であるのか、心の何処かで自覚してしまっているのではないでしょうか。しかし、この役割の自覚には、あなたが気づいていない落とし穴と関係性があるのです。今回は、その3つの分類と落とし穴を解説している、「天才を殺す凡人 職場の人間関係に悩む、すべての人へ」という本の書評をしていきます。天才・秀才・凡人の3つの役割を理解することが、あなたの人生における集団行動がより、他者と協力的になり、自分の幸せの追求に繋がると思います。

また、音声メディアVoicyでも、発信をしており、日常の疑問やビジネスでの違和感から、独特な考察を繰り出す思考は大変勉強になりますよ。

下記は今回の書評の「OPENNESS(オープネス)」の回ですね。

「OPENNESS(オープネス)」の問題意識と科学的統計アプローチ

「職場の空気のせいで働きづらい」、「OPENNESS(オープネス)」はこの「あるある」を問題意識に書かれた本です。

この「空気」ですが、もし本当に空気が原因で業績が落ちる、また空気を改善すれば業績が上がるとすれば、一大事ではありませんか?

というのも、「空気」を重んじる文化のある日本だからこそ、これが関係あるのであれば、非常に重要なテーマだということです。

本書は、「職場の空気感が業績を左右するか?について、数字やファクトベースで分析してみよう」という形でスタートするわけです。

そこで、分析のために使われたデータがあります。

Vorkersという会社の口コミサイトを、皆さんはご存知でしょうか?(現在はOpenWork(オープンワーク)というサービス名に変わっていますが。)

著者の北野唯我さんは、オープンワークのサポートもしており、オープネスはこのオープンワークのデータをもとに作られた本です。

オープンワークの転職者の口コミをもとに、AIで業績の良い・悪い企業の特徴を統計的に洗い出した結果、下記のことが得られました。

一例ですが「風通しの良さ、社員の相互尊重などの【職場の空気】が、20代の成長環境や社員の士気に相関関係がある。」ということです。

ちなみに、データとしては2383社を統計的に分析しているので、評価データがオープンワークだけなので偏りがある可能性はありますが、客観的かつ科学的に分析を試みていると言っても問題なさそうです。

他にも、統計データが色々な相関関係の表が載っていたりするので、北野唯我さんの視点以外からデータを分析してみるのも面白いでしょう。

「会社の空気と業績の関係」は投資会社でも、投資先を決める際の評価指標に組み込まれているらしいですが、色々なデータが見えるようになってきたことがわかりますね。

「OPENNESS(オープネス)」は科学と情熱による分析のバランスが良い

「OPENNESS(オープネス)」の素晴らしい点は、まず1つ目に科学的かつ実践的に分析している点でしょうか。

つまり、空気が悪いと働きづらいよね、だから気合で改善していこう!みたいな、「ふわっとした感情論」で終わらせないということです。

北野唯我さんのように本当に仕事ができる人は「問題・ペイン・苦痛の解決を仕組み化」しようとします。

「OPENNESS(オープネス)」では、この問題解決の思考方法も勉強になるポイントです。

  • 「そもそもこの問題・ペイン・苦痛は本当にあるのか?」
  • 「そして、その問題は解決できるのか?それとも解決できないのか?」
  • 「解決できないのであれば、どのような打ち手があるのか?解決できるのであればどのような打ち手があるのか?」
  • 「解決するための仕組みづくりはできるのか?できるのであればどうすれば良いのか?」

上記のような解決のフレームワークをMECE(漏れなく、ダブりなく)に冷静に、かつ情熱的に(苦痛・ペインを取り除きたいという気持ち)、導く力も勉強できますよ。

そして、問題提起だけで終わらず、自分たちの組織で「空気」が原因で会社のパフォーマンスが悪くなったらどう対策すればよいのか?と、誰もが実践できる形=仕組み化を後半部分できちんと描いています。

「OPENNESS(オープネス)」はサイエンスとパッションを組み合わせた、分析と実践の本なんです。

「OPENNESS(オープネス)」を高める仕組み

仕組み化の方法については、「OPENNESS(オープネス)」の原本を読んで、具体的に見てほしいポイントではありますが、

ざっくりお伝えすると、現場とマネジメントの個々人の問題と双方のコミュニケーションの問題が論点になっています。

  • 「経営開放性(ビジョン、戦略、成功と失敗体験の相互理解の促進)」を高める。
    →(対策ex.経営幹部との1 on 1、社長のランチミーティング、等)
  • 「情報開放性(会社の経営情報や上司への報連相のハードルを低くし、質疑応答の活発化)」を高める。
    →(対策ex.上司が話しを聞く時間帯を決める、会議で質問を絶対させる、情報開示のITシステムの構築、等)
  • 「自己開示性(各人の好き嫌い、強み弱み、困りごとを相互に理解し、会社チームでの連携力の向上)」を高める。
    →(対策ex.上司が自分が困っていることを発信する、上司とのキャリアプラン設計の行い部下の成長を助ける。)

上記のように、現場とマネジメント(経営者・上司)の間にある「オープネスを邪魔するもの」を徹底的に排除することで、働きやすい環境が形成されていくのです。

例えば、下記のような、阻害要因も代表的に書かれており、断片的に気になった人には、ぜひ読んでもらいたいですね。

  • 信頼関係を阻害する、言行不一致の現象「ダブルバインド(ex.何でも相談しろと言われたのに、相談したら忙しいと言われた。から陥る不信感や不安感)」
  • 組織を壊し「戦略のわかったふりをするおじさん」が作る「戦略のねじれ=トーション・オブ・ストラテジー」
  • 成功ばかり共有して悪い面や機会損失・改善余地を見ない「オーバーサクセスシェア」

等々…。

ここでの注意点としては、「どんな組織でも、常に空気が良いということは難しい」ということです。

極論いえば「人間は弱い」ため、企業の戦略が常に正しいことがないように、組織の空気のコントロールも常に間違えないはずがないのです。

他方で、「空気の淀みを作る問題」を認知することで、初めて解決の手立てが打てるという意味で、本書が明らかにした問題の数々を我々は知っておく必要があります。

「働きがい」と「OPENNESS(オープネス)」、あなたはどうする?

「OPENNESS(オープネス)」では、「職場の空気がパフォーマンスに影響する」ことを一定のデータで証明してくれました。

この本を見る・書評することで、我々は「問題を問題だと認識する」ことができたのです。

問題は、問題だと定義されない限り、問題にならないのです。

今まで、「なんとなく、空気が悪いと仕事や生活ってしづらいよね」という言説が、現実であったことを知覚できたのです。

これは、ビジネスだけの問題ではなく、学校のいじめの問題や、家族の円満の問題など、人間が集団化するシーンでは応用の効く大変貴重な学びでしょう。(高校時代、サッカー部の監督がトップダウン型で、大量の退部者が出ていた現象を思い出しました。)

また、自分がいる環境・職場が閉じられた空間であるか?も注意が必要でしょう。

そういった意味では、学校はもちろん、建築現場や病院、警察など、一定の閉鎖性がある空間では、空気の異常性に気づかないものです。

他方で、注意を向けるだけや、気づくだけではなく、もう一歩進んであなたは「空気の問題」に対して何ができるか?という点も考えてみませんか?

というのも、「OPENNESS(オープネス)」の問題に限らず、問題に気づいても解決できなかったり、抜け出せない人間が多いからです。変えられない人間が多いからです。

ただ、自分だけだと「OPENNESS(オープネス)」を変えることが難しいケースだってあります。

例えば、ビジネスの職場を例に、空気が悪いことで苦しんでいるのは現場の人間なのに、変えられるパワーを持つのが、上層部であるケースも多いんではないでしょうか。

しかも、上層部は現場にいないので、現場の悪い空気を感じ取りづらいのがたちが悪いんです。

そんなケースだからこそ、「あなたはどうするか?我々はどうするか?」と問う必要があります。

上層部の人々や周りの人間が、「OPENNESS(オープネス)」の重要性をわかっていないことだって往々にしてあるでしょう。

つまり、周りの人間(ex.上層部)に対して、「OPENNESS(オープネス)」の重要性を理解させる社会を作っていく責任が、社会を構成する一部である私達にもあるのです。

私達も、「OPENNESS(オープネス)」に問題を提起する北野唯我さんの姿勢に、下記のようなアクションを伴いながら、学びたいものです。

  1. 「これって問題かな?」と思ったら、分析する。
  2. 「これは問題だ」と認知する。(ここで変に耐えない。自分一人で変えられなければ、最悪逃げても良い。)
  3. 「この問題で他の人が苦しまないように、仕組みを変えよう。」と”人間が弱い”ことを前提に改善する善意やパッションを持って行動する。(難しければ、仲間や内通者を増やそう!)

社会の新陳代謝は、一人の人間からです。

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