【書評】「チャレンジャー・セールス・モデル」で、トップセールスマンの特徴を学ぼう。【感想まとめ】
こんにちは、外資系セールスから転職→現在はベンチャー企業にて起業家を支援している冨田到(@ItaruTomita9779)です。
今回は、トップセールスマン・売れる営業マンが活用する「最新の営業スキル」に関する本の書評をしていきます。
その本の名前は、【チャレンジャー・セールス・モデル 成約に直結させる「指導」「適応」「支配」】です。
こちらの本は、2015年に発売された本です。
経済不況の中でも、売れる営業マンが何故かいる、そんなことに着目して、「彼らがなぜ売れるのか?」、ということを調査した本になります。
ちなみに、私も3年間営業をしているのでわかるのですが、営業にも色々なスタイルがあり、こちらのブログでも私の実体験とともにいくつか紹介してきました。
- 製品の良さを訴求するスタイル
(自社製品・サービスの良さがわからないという人へのFAB分析【製品分析テクニック】) - 質問で相手のニーズを生み出すスタイル
(営業ができない?楽しく営業をするためのコツ:潜在ニーズを引き出す質問型営業)
(【営業】お客様の潜在ニーズを生み出す「SPIN話法」の考え方) - 顧客のビジョンに語りかけるスタイル
(【書評】「実践!インサイトセールス」で顧客のビジョン・理念を成功に導け。)
など・・・。
売れる営業マンになるための、営業の基本から応用スキルまで学習したい方向けのロードマップを公開しました。
当記事では、多くの人が経験する営業という仕事のスキルや姿勢について、基礎から応用までまとめました。
- 営業ロードマップ入門編:営業とは何か?
- 営業ロードマップ初級編:営業の売れない時期を乗り越える。
- 営業ロードマップ中級編:顧客を成功に導く。
- 営業のロードマップ上級編:顧客をコントロールする。
私が外資系のメーカーで学んだ営業を、限りなく網羅的にまとめました。
一流の営業マンを目指す方はもちろん、これから営業職に転職する・就職する人や、若手の新卒営業マンの人は是非ご覧ください。
商品の説明
内容紹介
全米ベストセラー、セールスの新しいバイブル
『The Challenger Sale: Taking Control of the Customer Conversation』待望の邦訳!我々の「理想の営業像」は 完全に間違いだった!
4年間90社6000人にのぼる大規模・徹底調査で判明。
「大型」「複雑」な営業でも、不況下でも常勝 する、「スキル」「行動」「知識」「態度」とは?全米40万部。
ウォール・ ストリート・ジャーナル紙ベストセラー。
イギリス・ドイツほか 10ヵ国で刊行の「最先端」実践テキスト。
新時代のセールス・バイブル登場!●ハードワーカー(勤勉タイプ)
●チャレンジャー(論客タイプ)
●リレーションシップ・ビルダー(関係構築タイプ)
●ローンウルフ(一匹狼タイプ)
●リアクティブ・プロブレムソルバー(受動的な問題解決タイプ)世界中の販売員は、この5タイプに分類できる。
このうち、高いパフォーマンスを継続的に発揮できるのは、「チャレンジャー」だけである。
だが、あなたが「チャレンジャー」でなくても問題はない。
誰であれ、一度正しい理論と実践法を身につければ、「チャレンジャー」として活躍できるようになるのだから。【本書への賛辞の数々】
「勝利する営業」を望むなら、 本書を読み、考え、実行せよ。
──ニール・ラッカム 『大型商談を成約に導く「SPIN」営業術』著者本書は、われわれが顧客とどう関わっているかを根幹から論じている。
販売員に望まれるのは、小手先の営業トークではない。
顧客に価値や知見を提供することだ。
だから、われわれは日々、「チャレンジャー」のスキルを磨いている。
すでに結果も出ている。今後も継続していくつもりだ。
──ケビン・ウォーレン ゼロックス米国顧客オペレーション責任者著者らはこの本で、複雑な営業プロセスをどうコントロールすべきかを教えてくれる。
優れた調査をもとに、あなたの組織、商品・サービス、そしてあなた自身をより的確に差別化するためのノウハウも──。
──エイドリアン・ノートン レキットベンキーザー製薬部門営業担当バイスプレジデント驚くべきは、「チャレンジャー」販売員が、この何年間も見えそうで見えない存在だったことだ。
だが本書が、彼らのアプローチの重要な要素を、伝授可能な具体的スキルへと分解してくれた。
このスキルを使えば、トップレベルの営業チームでさえも、さらに業績を伸ばすにちがいない。
──ダン・ジェームズ デュポン元最高営業責任者著者について
著者紹介
マシュー・ディクソン Matthew Dixon ブレント・アダムソン Brent Adamson
世界有数のアドバイザリー会社CEBにおいて、マシュー・ディクソンはエグゼクティブ・ディレクターを、ブレント・アダムソンはマネージング・ディレクターを務める。
CEBは、数千社におよぶクライアント企業の成功事例、先進的な調査手法、人材分析を組み合わせて、経営陣に事業変革のための知見やソリューションを提供。
その独自アプローチで、世界中のエグゼクティブから注目を集めている。訳者
三木俊哉 Miki Toshiya
1961年生まれ。京都大学法学部卒業。会社勤務を経て翻訳業。
主な訳書に、『アップルとシリコンバレーで学んだ賢者の起業術』『完全網羅 起業成功マニュアル』(ともに小社刊)、
『ヴァージン・ウェイ』『スノーデンファイル』(ともに日経BP社)、『世界はひとつの教室』(ダイヤモンド社)、『ヘッジファンド(I)(II)』(楽工社)などがある。
読書・書評やビジネス書が好きな人におすすめな「flier」というサービスがあります。
1,500冊以上の書籍が10分程度で、非常にわかりやすくまとまっており、日々の勉強に最高のサービスです。
下記のリンクからflierのレビューをしていますので、ぜひ利用してみて下さい。
「チャレンジャー・セールス・モデル」とは何か?
チャレンジャーとは、著者が営業マンの営業スタイルを5つに分類したうちの1つです。
さて、皆さんはどんな営業スタイルを普段しているでしょうか?
下記に本書に記されている5つの分類を記してみましょう。
自分の営業スタイルを振り返りながら、見てみてください。
- リアクティブ・プロブレムソルバー:受動的な問題解決
- ハードワーカー:勤勉
- ローンウルフ:一匹狼
- リレーションシップ・ビルダー:関係構築
- チャレンジャー:論客
チャレンジャーは論客タイプの営業スタイルと言われ、顧客に対して「指導」「適応」「支配」をするタイプの人々です。
顧客に対する「指導」「適応」「支配」がミソなのですが、後ほどこれらを深掘り考察していきましょう。
不況の中でも、売れる営業マンの中にはこのチャレンジャースタイルの営業マンが多かったそうです。
注意:チャレンジャー以外が売れないわけではありません。
あくまで売れる営業マンにチャレンジャーが多かっただけです。
自分がチャレンジャーでないからと言って落ち込む必要はないですが、学べるポイントはたくさんあります。
「チャレンジャー・セールス」が注目される理由と営業の歴史
さて、不況の中でも、売れてしまうのが「チャレンジャー・セールス・モデル」なわけですがそれらが注目されるに至ったのは、「営業の歴史」が関係します。
というのも、チャレンジャー・セールス以外にも、これまでは上手くいく営業はたくさんあり、チャレンジャー・セールスが現代に有効なように、時代に合わせて営業手法は変わってきたのです。
なぜ現代にチャレンジャー・セールスが有効なのでしょうか。
ハンターファーマーモデル
営業職の専業化は、保険業界から顕著になったと言われています。
保険の職員は、保険金徴収と顧客開拓セールスを一緒にやっていたのですが、顧客が増え、徴収業務が増えるにつれ、その2つの両立と効率化が難しくなってきたそうです。
営業の心理学の活用(質問型営業、SPIN話法)
また、営業職が専業化していく中で、売れる営業と売れない営業が、当然出てきますよね。
営業を科学的に分析すると、営業における心理学を活用したテクニックが生まれ始め、売れる営業を多くの人が再現できるようになる時代が来ました。
心理学が営業に使われてしまうという現実を様々な研究から示している本として、「影響力の武器」が挙げられます。
「影響力の武器」の続編の「PRE-SUASION」の書評も書いてますので、ご参考ください。
御用聞き的な営業が通用せず、顧客心理をうまく掴みながら、提案する営業が一定数いたのでしょう。
営業の心理学の解明から生まれたイノベーションこそが、質問型営業とSPIN話法です。
顧客に対して質問を適切に行うことで、顧客の心理を操る営業テクニックの再現が可能になってきたのです。
そして、人間の心理学の解明が進む中で、人間関係で売るような営業スタイルも出てきました。
返報性の原理や仲間意識を持たせることで、相手に購入を促すのです。
ソリューション営業
さて、高度成長期が終わり、不景気な時代に突入すると、ものを作っても売れない時代が到来してきました。
そのような不景気な中で現在進行系で、流行っている営業スタイルは顧客の困りごとを解決する提案をする「ソリューション営業」です。
不景気な時代では、困ってないことやニーズが無いものには、会社として中々お金が出せません。
なので、ソリューション営業は、顧客ニーズをヒアリングし、それに対して自社による解決策を提案する営業なのです。
しかし、差別化の弱い会社ではソリューションがどこも似たり寄ったりで、価格勝負になることが多く、最近はソリューション営業でも売れづらくなってきています。
そして、このソリューション営業も、どこの企業もやりはじめるようになり、顧客自身も自分たちの困りごとに、営業マンに言われなくても気づくようにもなり、ソリューションは価格で買い叩かれてしまうのです。
そんな不況の中でも、売れる力をもつ可能性があるのが、ソリューション営業を超える「チャレンジャー・セールス・モデル」である、といったわけなのです。
チャレンジャー・セールス・モデルは、顧客の困りごとの解決という営業提案の更に上を行く営業手法になっています。詳しく見ていきましょう。
チャレンジャー・セールス・モデルの3つの条件
さて、不況な日本で、チャレンジャー・セールス・モデルがなぜ有効なのか?というお話に入っていくとともに、顧客に対する「指導」「適応」「支配」とはどんなものか、解説していきます。
チャレンジャー・セールスが有効な理由を端的に言うと、彼らは、顧客のありふれた悩みを扱うのではなく、顧客すら驚くようなニーズを発掘し、それの解決提案を行うからです。
「指導」「適応」「支配」
チャレンジャーの3つの要件は、本書で下記のように書かれています。
チャレンジャーの「指導」
⇒ 顧客のビジネスについて独自の視点を持ち、双方向の対話能力に長けている「チャレンジャー」は、営業上のやりとりのなかで差別化ポイントを指導する(教え導く)ことができる。
チャレンジャーの「適応」
⇒ 顧客のバリュードライバーや経済ドライバーを把握している「チャレンジャー」は、顧客組織のなかの正しい人に正しいメッセージを伝え、共感を得られるように適応することができる。
チャレンジャーの「支配」
⇒ 「チャレンジャー」はお金の話もいとわず、必要とあらば顧客に多少の無理強いができる。したがって、営業プロセスを支配する(主導権を握る)ことができる。
「指導」「適応」「支配」について、チャレンジャーは、商談企業の気づいていないニーズを教え導き、商談企業の担当者の部署・役職に応じてそれをわかりやすく伝え、顧客に対して高い金額であろうともしっかり商談のクローズを提案できるのです。
めざすゴールは、顧客をジェットコースターに乗せ、まずはちょっぴり暗い場所に案内してから、トンネルの向こうの光を見せること。その光とは、もちろん、あなたのソリューションである。
商談の流れは、上記の引用の通りで、顧客の悩みを示唆し、確固たるデータでそれを実証し、それを解決する提案を行うのです。
ソリューション営業との違いは、解決する悩みを顧客に聞くのではなく、自社側で既に検証したものを、ずばり言い当てることでしょうね。
更に具体的な商談のステップは下記の通りです。
- 「地ならし」:当たりをつけている悩みを示唆します。(あなた:悩んでいるのはあなただけではない。)
- 「再構成」:その悩みが顧客に重大な問題をもたらしているというインサイト(洞察)のチラ見せをします。(顧客:そんなふうに考えたことはなかったよ。)
- 「裏付け」:他社の事例や顧客に適応した際のデータによる課題を解決した際の効果を提示します。
- 「心を揺さぶる」: そして、顧客の会社の目指す方向性と結びつけ、自分のストーリーだと思わせます。
- 「新しい方法の提示」:行動を変えればビジネスはどう改善されるのか を、他社の未来を示しながら、顧客に想起させます。
- 「ソリューションの提案」:最後にやっと、自社ならではのソリューションの提案を行うのです。
みなさんも、自分の商談を見直してみていかがでしょうか?
プレゼン資料として、自社紹介が最初に来ていませんか?
お客様からしたら、あなたの会社の紹介なんぞには全く興味が無いですから、我々営業マンは気をつけなければいけません。
自分にも言い聞かせてますが、自社の事業所マップや自社のパートナーが資料の前半に来ていたら、要注意です。
チャレンジャー・セールス・モデルは真似できる。
ここまで聞いてみて、「チャレンジャー・セールス・モデルって、すごいけど私には難しいかな?」、なんて思う方もいるかも知れません。
ただ、チャレンジャー・セールス・モデルは本書において、量産できると言い切っていますし、私自身も真似できると考えています。
真似するためには、まずは「自社の独自の強みは何か?」「自社のソリューションは他社と比較して顧客の特別な悩みを解決できるのか?」ここを考えてください。
おすすめの分析フレームワークとしては、FAB分析があります。
営業としてはぜひ知っておきたいスキルで、学ぶために、是非こちらをご参考ください。
そして、あなたが営業部長やマネージャーで、部下にもチャレンジャー・セールスを増やしたいということであれば、マーケティング部門単位で、自社独自のインサイトを発見し、社員にそれを教えてあげることが大事です。
これらの自社独自のインサイトを、顧客の業界レベル、次に会社レベル、顧客担当者レベルの順に、メッセージとして伝えられるように、ストーリーを作っていけば、チャレンジャー・セールスを実行する土台が出来たと言えます。
その一歩として、まずは業界で何が起きているのかを語れるようにしましょう。
最近倒産したライバル企業がありますか?
企業合併はありましたか?
シェアを急速にのばしたり減らしたりしていませんか?
大きさの変更は?
会社の直近のプレスリリースや、営業報告書は?
お客様は、どんな事業戦略を考えていますか
チャレンジャーは育成できますし、なることも出来ます。
ぜひ、あなたも「チャレンジャー・セールス・モデル」を読破して、営業の高みに一歩近づきましょう。
売れる営業マンになるための、営業の基本から応用スキルまで学習したい方向けのロードマップを公開しました。
当記事では、多くの人が経験する営業という仕事のスキルや姿勢について、基礎から応用までまとめました。
- 営業ロードマップ入門編:営業とは何か?
- 営業ロードマップ初級編:営業の売れない時期を乗り越える。
- 営業ロードマップ中級編:顧客を成功に導く。
- 営業のロードマップ上級編:顧客をコントロールする。
私が外資系のメーカーで学んだ営業を、限りなく網羅的にまとめました。
一流の営業マンを目指す方はもちろん、これから営業職に転職する・就職する人や、若手の新卒営業マンの人は是非ご覧ください。
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